カメの卵塞 
Egg retention

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卵塞はその原因により、閉塞性、非閉塞性、異所性の3つに大別されます。
閉塞性の卵塞は、物理的に卵が通過できないために生じます。
非閉塞性の卵塞は、飼育環境の不備や栄養性疾患などが原因となります。
異所性の卵塞は、体腔内への卵の逸脱が原因となります。

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カメを含む爬虫類約1600個体を対象にした調査で、毎年約10%の個体で卵塞が発生するとの報告があります。
春から夏にかけて発生することが多く、また特徴的な臨床症状がみられない場合もあります。

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食欲不振、脱水、産卵行動、活動性の亢進もしくは低下、いきみ、総排泄腔脱、卵管脱、体重減少、後躯麻痺、嗜眠がみられますが、これらの症状がみられないこともあります。

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視診、触診、レントゲン検査、超音波検査、血液検査などが実施されます。
とくにレントゲン検査では体腔内の卵の様子が観察されます。

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飼育環境の改善指導、内科的治療(カルシウム剤の投与やオキシトシンの投与など)を行います。

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効果的な予防法は存在しないため、定期的な検査が必要になります。
当院ではカメさんの健康診断も実施しております。


参考 エキゾチック診療 35号